ニコニコ子育て〜保育の現場から〜⑥

掲載日:2017年11月1日(水)

【4歳児の子育て】

3歳頃の、ピョンピョンと跳ね回って遊んでいた姿から、少し落ち着きが見られる4歳は成長が著しく感じられる頃だと思います。急に走ったり、止まったり、スキップしたり、足の力の入れ方や、体の使い方が上手になり、手先も一段と器用になり、活動の幅がどんどんと広がることでしょう。

手先が器用になってくると、さまざまな道具も使えるようになり、ハサミも上手に使えるようになってきます。道具は危ないから使わせないのではなく、大人がそばにいて教えながら一緒に使い、手先を使う楽しさとともに、危険な物でもあるということも伝えましょう。

最近は道具を使う機会が少なくなり、微妙な手先の力加減が苦手な子どもが増えてきています。簡単な大工仕事をお子さんと楽しまれると、物が出来上がっていく過程や仕組みもわかり、うれしい経験となることでしょう。安全について、言葉での理解も進んでくるので、遊びの中には危険もあるということを少しずつ伝えていくことが必要です。

自立もどんどん進んでいくため、自ら予測して、危険な行為に及ばないように抑制できる心も身につけていきたいものです。川や水辺には子どもだけで絶対に近づかないことや、知らない人に声をかけられてもついていかない等、自ら危機管理ができるようにするためにも、機会があるごとに繰り返し伝えていきましょう。

考え方も、少しずつ論理的になり、ものを見通す力も高まっていきます。「あした」「あさって」等の時間の概念や、自分達が住んでいる町から離れた場所に、祖父母が住む町がある等、空間の概念もぼんやりとつかむことができて、大人顔負けの話をすることもあり、ビックリさせられることも出てくるでしょう。物事の仕組みに興味がわいてきて、「どうして?」と質問されることも多くなってきます。知的好奇心は「学び」の始まりでもあります。疑問を持つからこそ、知りたいという気持ちが強くなり、知ることで学び、知性が伸びてきます。質問に対して一つひとつ受けとめ、わかりやすく説明をしてあげると良いでしょう。

3歳の“なんでもやりたい。自分が一番!”の頃に比べ、“やりたいけれど、やってはいけないこともある”と、二つの気持ちをコントロールし、周りの人から自分がどう見られているかが気になりはじめ、“自分とは違う気持ちや立場がある”という社会性の育ちの大切な時期に入ってきます。天真爛漫に振る舞っていた子どもも、中には“人からどう見られるのか”を気にしてしまい、“上手にできないかもしれない”という不安から、急におとなしくなってしまう子どももいます。しかし、せかせたり、叱咤したりするのではなく、「失敗しても大丈夫だよ」と言葉をかけて、子どもの気持ちに共感し、寄り添ってあげることで、相手の気持ちや立場が理解できる優しさが育っていくのです。相手の気持ちがわかるようになってくる頃ですので、絵本や物語の登場人物の気持ちや関係性も理解できるようになります。最近はテレビやインターネットの普及により、より刺激的な物を好む傾向にありますが、絵本の世界からイメージをふくらませることで、想像力が養われるとともに、文字への興味や、絵本に描かれている絵から、色彩感覚も育っていくことでしょう。

さまざまな事柄に興味や関心を広げながら、自らが〝これに興味があり、学びたい〟と思える気持ちを育てることが、早く文字や数を教え込む早期教育よりも大切なことです。

(T・T)