ニコニコ子育て〜保育の現場から〜⑦

掲載日:2017年12月1日(金)

【5歳児の子育て】

子どもは一日一日の経験を積み重ねて成長し、5歳にもなると、大人がやれるような基本的な運動はほとんどできるようになります。手先もますます器用になってきて、教えれば、蝶々結びもできるようになってきます。体が発達して、思いっきり走ったり、ボール遊びをしたり、身体を使って色々なことをやりたくなる時期ですが、最近はどんどん遊び場も減り、気持ちと体力を持てあまし、余ったもやもやは、家の中でゲームをして解消することが多いように思います。

休みの日の行楽といえば、テーマパークに出かけるのも楽しいかもしれませんが、のびのびと走り回れる公園や自然の中で思いっきり遊ぶことで、子どもは自然の大切さを学びながら、体を動かし、もやもやも解消し、代わりに達成感や充実感を得ることができるでしょう。人間の暮らしは自然の中で培われたものですから、自然とふれる機会をたくさん作っていただきたいと思います。

最近は、地域環境の変化から子どもだけで遊びに出かける機会は少なくなり、どこに行くのも親が一緒ということが多いと思います。しかし、小学校へ入学すれば、大人の手を離れ、子どもだけで通学しなくてはなりません。園児を連れて散歩に出かけ、歩道橋を渡ろうとした際、経験をしたことがない子どもが、怖くて渡れず、目的地を変更して帰園したことがありました。その後、何度か歩道橋を渡る練習をして、ようやく本来の目的地に出かけることができたのですが、“車での移動が多くなり、歩く経験が少なくなっているのだ”と感じました。歩くことが少ないと、交通ルールを守ったり、車の危険を予測したりする機会も少なくなるということです。家の周辺の2~3キロ位や学校までの道のりは、子ども達自身で移動することが多いので、機会を見つけては、車を使わずに子どもと一緒に歩いて危険な場所を教え、車道を横断する際は、横断歩道を渡ること等を繰り返し教えることが、子どもを交通事故から守ることにつながります。また、自転車も上手に乗れるようになると思いますが、必ずヘルメットを着用してください。

社会性もどんどん育つ頃ですので、家族や友達の中で、必要とされている、自分が役に立っていると感じる経験を得て、“自分は社会の中で必要とされている”という、自尊心が育っていきます。それは、これから子ども達が就学し、大人へと成長していく中で経験するだろう、悲しい出来事や辛い体験も、乗り越える力へとつながっていきます。ご家庭の中で、お手伝いや簡単な役割を作って、「助かった」「いつもありがとう、あなたのお陰ね」等の声をかけて、自分を誇らしいと思える機会を作ってあげるとよいでしょう。

そして、社会にはさまざまなルールがあり、善悪の判断を教えていくことも大切です。最近はカード払いやインターネットショッピングなど便利に買い物ができる時代になり、実際に親がお金を使う様子を子どもが見ることも減りました。そのためお店から悪気なく商品を持ち帰るといった事例もあるようです。社会性の育ちや生活に必要な力は社会環境の変化に伴い、大人が伝えなければ子どもは知らないということもありますので、しっかり教えてあげてください。

子どもはこれからますます成長し、いずれは家族のもとを離れ自立し、社会を担っていく大切な存在です。それは、私達が暮らすこれからの未来を作っていくことだと思います。子どもを取り巻く大人達が笑顔と優しさを忘れず、産まれてきてくれた大切な「命」に「ありがとう」の気持ちを持って、子どもの育ちを見守っていただきたいと思います。

(T・T)