第2回:少子・高齢社会の中の日本の福祉

掲載日:2017年1月27日(金)

最近、皆さんも『認知症』という言葉をよく耳にされると思います。高齢化の進展に伴い、今後、65歳以上人口に占める認知症高齢者数は増加し、2012年に462万人(約7人に1人)だったものが、2025年には675万人(約5人に1人)になると推計(表1参照)されています。

認知症とは『いったん正常に発達した知能が、種々の原因疾患により、認知機能(記憶・判断力等)が低下し、日常生活などに支障が出ている状態(6か月以上継続している状態)』を総称したものです。代表的な疾患(表2参照)としては、脳の細胞がゆっくり死んでいく「変性疾患」のアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症や、脳の細胞に栄養や酸素がいきわたらなくなり、脳の細胞が死んでしまう血管性認知症があります。また、認知症のような症状が出現しても治療により治癒する可能性のある疾患としては、甲状腺機能低下症、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、ビタミン欠乏などがあります。

最近の研究では、認知症の原因疾患は70から80種類あるとも言われていますが、最も多いとされているのがアルツハイマー型認知症で、認知症全体の約6割を占めるとの報告もあります。アルツハイマー型認知症の主な症状としては、①記憶障害、②失認(目に見えているものが何か理解できない)、③失行(動作の仕方がわからない)、④失語(名前がでてこない)、⑤実行機能障害(手順がわからない)、⑥見当識障害(時間、場所、人が認識できなくなる)、⑦理解力・判断力の低下などが出現します。

このような状況を認識すると、そう言えば「私も最近、物忘れ(記憶障害)が」と不安になられる方もおられると思いますが、「加齢に伴うもの忘れ」と「認知症による物忘れ」には違い(表3参照)があります。ご心配な方は、お近くの「もの忘れ外来」のある医療機関への受診をお勧めします。

項目 平成24年(2012) 平成27年(2015) 平成37年(2025) 平成52年(2040)
65歳以上人口 3,083万人 3,395万人 3,657万人 3,867万人
認知症患者推定数 462万人 517万人 675万人 802万人
認知症患者推定有病率 15.0% 15.2% 18.5% 20.7%

(表1)認知症患者数と有病率の将来推計

出典:厚生労働科学研究費補助金 厚生労働科学特別研究『日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究総括研究報告書』12頁表3を基に作成。

認知症 治りうる認知症
アルツハイマー型認知症
血管性認知症
レビー小体型認知症
前頭側頭型認知症
その他
甲状腺機能低下症
慢性硬膜下血腫
正常圧水頭症
ビタミン欠乏
その他

(表2)認知症の代表的な種類等

出典:国立長寿医療研究センター編『認知症を患う人を支えるご家族の方へ』6頁から引用。

加齢に伴う物忘れ 認知症による物忘れ
体験の一部を忘れる 全体を忘れる
記憶障害のみ 記憶障害に加えて判断障害や実行機能障害がある
もの忘れを自覚している もの忘れの自覚に乏しい
探し物を努力して見つけようとする 探し物を誰かが盗ったということがある
見当識障害はみられない 見当識障害はみられる
取り繕いは見られない しばしば取り繕いがみられる
日常生活に支障はない 日常生活に支障をきたす
きわめて徐々にしか進行しない 進行性である

(表3)『加齢に伴うもの忘れ』と『認知症による物忘れ』の違い

出典:国立長寿医療研究センター編『認知症を患う人を支えるご家族の方へ』4頁から引用。