ニコニコ子育て〜保育の現場から〜③

掲載日:2017年8月1日(火)

【1歳児の子育て】

赤ちゃんの誕生から一年が経つと、お誕生日をお祝いする言葉とともに、ご両親にも「お父さん、お母さんとなり1歳のお誕生日、おめでとうございます」とお声掛けさせていただいています。赤ちゃんが生まれ、1歳になるまで子育てに迷いや悩みを抱えながらも、子どもの重ねた年齢分、親としても年数を重ね、次第に新米の親からベテランの親になっていきます。今回は1歳のお子さんの育ちについてご紹介いたします。

出産から一年間、お母さんは昼夜の授乳や夜泣きで眠れない日を過ごすことも多いでしょうが、1歳を迎える頃になると、夜まとまって眠るリズムもできてきます。

1歳を過ぎると、赤ちゃんの体重や身長の増加がゆるやかになり、次第にほっそりした幼児体型になります。しっかり歩く子もいれば、ハイハイや伝い歩きからなかなか一歩が出ない子、言葉も「マンマ」「ワンワン」などと話す子もいれば、「あーうー」と喃語(なんご)を繰り返す子とさまざまです。公園等で同じ年齢の他のお子さんの様子を見て、心配になることが多い時期ではないかと思いますが、特に言葉の発達は個人差が大きいですから、ゆっくりでもあまり焦らず、見守ってあげてください。少しずつ、大人が話す言葉の理解も進んでいきます。食事中に「人参おいしいね」「いっぱい食べたね」等、その場の状況や物の名前などを語りかけながら、丁寧にふれあいを重ねていくとよいでしょう。

さまざまなことも、自分でやってみたいという気持ちが増え、頭でわかっていても、それをうまく言葉として伝えることができないため、かんしゃくを起こし「イヤイヤ」することも増えてきます。親にとっては、子どもが泣いたり、かんしゃくを起こしたりするのを見ているのは辛いことですが「心が成長してきている証拠」とおおらかに受けとめてあげてください。
 立って歩けるようになると、今まで見ていた視線が高くなり、興味津々、探索活動が始まります。子どもはどこにでも行ってしまうので目が離せなくなり、少し目を放したすきに起こる事故も増えてきます。

特に気をつけたいのがお風呂の残り湯です。湯船に落ちて溺れてしまうケースがあります。また、足をかけて少し高い場所にも上がれるようにもなりますので、高い場所からの落下にも十分に気をつけたいものです。

大人から見れば、いたずらにしか見えなくても、子どもにとっては“知りたい”“さわりたい”という好奇心と挑戦しようとする意欲が育つ時期です。事故やケガが起きない程度に、のびのびとさまざまな経験をさせてあげてください。子どもに自由な経験をさせないまま、「これはだめ、汚い、危ない」と教えこんでしまうと、子どもは経験することなく成長してしまい、今後の育ちの中で、初めての経験に抵抗し、興味や関心の幅が狭まっていくように思います。子どもは体験することで、心も体も育っていきますので、子どものうしろからそっと見守ってあげ、危ないと思ったら、手を差し延べてあげるとよいと思います。

1歳を過ぎると、母乳やミルクから離乳食に切り替わり、食事から栄養を摂取するようになります。

卒乳の頃合いについて、相談が多く寄せられます。水分補給がストローやコップを使ってできるようになり、離乳食が進めば、母乳を終える準備ができたということですが、まだまだお母さんに甘えたい頃でもありますので、お子さんの様子を見て、あまり焦らずに時期を決めていくとよいと思います。おっぱいの卒業はお母さんにとっても寂しいことかもしれませんが、お父さんお母さんとだけの人間関係から、周囲との関係を広げようとする第一歩と喜んでください。そして、意識的にさまざまな人とふれあう機会を持つとよいでしょう。

(T・T)